糖尿病・甲状腺疾患・内科一般
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2009年11月30日
新型インフルエンザは、各地で集団感染が起きるなど流行が急速に拡大しています。重症化あるいは亡くなる方も出るなかでさまざまな情報も飛び交い、不安を募らせている方もいらっしゃると思います。今、わたしたちに求められているのは、新型インフルエンザにかからないこと、万一感染した場合は人にうつさないようにし感染拡大を防止することです。そのためには、正しい知識を身につけ適切に対処することが重要です。
そもそも新型インフルエンザと、通常の季節性インフルエンザとはどこが違うのでしょうか?
新型インフルエンザとは、動物の間だけで感染していたインフルエンザウイルスが、何かのきっかけで人に感染し、さらに人から人へと効率よく感染できるように変異したウイルスによって引き起こされるインフルエンザのことです。発生当初は大半の人に免疫がないため世界的大流行(パンデミック)が発生し、感染した人は重症化する危険性があります。20世紀には、パンデミックが3回起こりました。なかでもスペイン型インフルエンザ(1918年)は被害が大きく、全世界で約4000万人、日本では約39万人もの方が命を落としました。
しかしパンデミックを起こしたウイルスは、その後大半の人に免疫ができたため、当初より流行規模は小さく、感染した際の症状も軽くなります。こうしたウイルスには、「香港型」「ソ連型」といった名前が付き、現在でも流行を繰り返しています。これが通常の「季節性インフルエンザ」です。
今流行している新型インフルエンザは、豚に由来するウイルス(A/H1N1)が原因ですが、毒性は低く感染した人のほとんどは軽症で回復しています。
しかし、免疫力が低下している方は重症化する可能性が高く注意が必要です。またウイルスは常に変異し続けるため、今後毒性が強いウイルスに変わるおそれもあります。さらに、もともと毒性が強い鳥インフルエンザ(H5N1)が大流行する可能性も否定できません。
いずれにしても油断はできない状況にあるといえます。
ほとんどの方が軽症で済んでいる今回の新型インフルエンザですが、感染すると重症化するリスクが高い方々(ハイリスク群)もいます。下に挙げるハイリスク群の方々は、感染防止策を徹底するとともに、医療機関の受診の仕方にも注意が必要です。実際、弱毒性といわれるA/H1N1 ですが、ごく少数ながら脳症や肺炎、重い呼吸器障害などを発症するケースや、腎臓疾患がある方の死亡例も出ています。ハイリスク群の方は季節性インフルエンザでも重症化する傾向がありますが、多くの人が免疫をもたない新型の流行が拡大した場合、重症者、死者がより増えることは、十分に予想されます。ハイリスク群の方は、いっそう注意深く感染防止に努めてください。
また、国内でも海外でも、今回の新型(A/H1N1)では10代を中心に若い世代に感染者が多い半面、高齢者の感染例が少ない傾向があります。その理由として、ある年齢以上の高齢者は新型のウイルス(A/H1N1)の抗体をもっているためではないかと推測されています。
しかし、その免疫は弱いものであり、また、高齢者はいったん感染すると死亡率が高くなるので油断すべきではないとの専門家の指摘もあります。世代を問わず、新型には注意が必要といえそうです。
持病をお持ちの方
下に挙げるような持病のある方は、病気の管理がうまくいっていないと免疫機能が低下し重症化する可能性が高まります。
予防を徹底し、あらかじめかかりつけ医に相談しておきましょう。たとえば糖尿病の方は、きちんと血糖管理されているかなどを確認しておくと安心です。
その他
妊婦、乳幼児、高齢者の方々も、インフルエンザが重症化することがあると報告されています。持病をお持ちの方と同様、感染予防に心がけましょう。
インフルエンザウイルスは、感染者の鼻水、咳、くしゃみによって飛び散るしぶき(飛沫【ひまつ】)に含まれています。そのため感染の仕方は、以下の2通りになります。
飛沫/接触感染を防ぐために有効なのが、「人込みを避けること」「咳エチケット」「手洗い」です。これらの対策は新型だけでなく、季節性インフルエンザにも有効です。
川崎市医師会ほほえみがえし Vol12 より