糖について知りましょう!

皆さんこんにちは。暑さも少し落ち着いてきた感じですが、不安定な天気が続いていますのでお気を付けください。

第2回の健康メモでは、「糖」についてお話しようと思います。
一口に糖といっても、色々な言い方がありますし、糖に関する言葉をたくさん目にすることもあるかと思います。炭水化物、糖質、糖質ゼロ、糖質オフ、GI値・・等々、普段からテレビやネット記事、スーパーやコンビニで目にしたことがあるかもしれません。

ですが、

  • 似たような言葉が多すぎる!
  • なんとなく聞いたことはあるけどよくわからない・・

なんてことはないでしょうか?
そこで今回は、これら糖に関する言葉について、糖の「種類」と「質」に分けてお話しようと思います。

まずは糖の「種類」から整理しましょう。まとめると以下の表のとおりとなります。

糖の種類

炭水化物は三大栄養素のひとつで、糖質と食物繊維が含まれます。

食物繊維は主に野菜、果物、キノコ、豆類等に多く含まれており、腸内環境を整えて便秘予防に良い成分として広く知られています。ちなみに1日に推奨される食物繊維の量は約 20gとされています。食品100gあたりの食物繊維の量でいうと、ブロッコリーは約 5g、ジャガイモ約 10g、ひじきは約 50gとされています。

糖質は炭水化物から食物繊維を除いたものの総称です。普段私たちが摂っているお米や小麦、ジャガイモなどは多糖類に分類されます。

糖アルコールといわれるとお酒のアルコールと関連するのかな?と思うかもしれませんが、関係ありません。ガムに含まれているキシリトール、といわれるとピンとくる方もいるのではないでしょうか。

その他アステルパーム、アセスルファムKなど人工甘味料として多く用いられているものもあります。人工甘味料は食後の血糖値上昇が起こらず、またカロリーが低いため、糖尿病の患者さんでは効果的です。逆に食後の血糖値上昇がおこらないため、脳が満足感を感じにくくなり、食欲が増してしまうというデメリットもあります。

糖類とは糖質のうち、単糖類と二糖類の総称です。主なものとして、スクロースはいわゆる砂糖のことを指します。ラクトースは牛乳や母乳に含まれています。
ちなみに糖分という言葉に明確な定義はありません。

言葉の意味を確認したところで、次はスーパーや広告などでよく見る糖質ゼロ糖類ゼロ糖質オフについてまとめます。
糖質ゼロ
糖質(糖類、多糖類、糖アルコール、その他)すべてを含みませんので、ほぼカロリーゼロです*
*「ほぼ」というのは、食品表示法で100g(飲み物なら100ml)あたり4kcalならゼロカロリーと表示可能であるため、厳密に言うとゼロカロリーでない可能性があります。
糖類ゼロ
砂糖やブドウ糖などの糖類は含みませんが、キシリトールなどの甘味料が含まれている可能性があります。ですのでカロリーゼロではありません
糖質オフ
(糖質カット、低糖質)
1. 食品や飲料に含まれている成分が、食品100g当たり 5g、飲料100ml当たり 2.5g以下であること。
2. 比較対象の商品が明らかであること。
この2点が表示の条件となります。つまり、「糖質オフ」と単に表示することはできません。例えばA社のあるビール製品間で「A社□ビールと比べて糖質〇%オフ」という書き方をしないといけません。
ロカボ®
糖質の摂取をゼロにしない「緩やかな糖質コントロール」のことです。1日130g以内*に糖質を抑えて食べる食事方法です。
*一般的なコンビニおにぎりは重さ 100g(糖質約 35g)=お茶碗に軽く一杯程度です。

いかがでしょうか。分かりづらいかもしれませんが、ザックリと

糖質ゼロ≒ほぼカロリーゼロ
糖類ゼロ≠カロリーゼロ

と覚えていただくといいと思います。

では次に、糖の「質」に注目してみましょう。
糖の「質」として用いられるのが、GI値とGL値です。

ここからはGI値 (Glycemic Index; グリセミック指数) とGL値 ( Glycemic Load; グリセミック負荷)についてお話します。GI値、GL値は食べ物がどの程度血糖値に影響するかを示す指標として、近年よく用いられています。

GI値は、食品が血糖値をどれだけ早く上昇させるかを示す指標です。具体的には食後2時間以内に血糖値がどれだけ上昇するかを基準にして、100点満点で評価します。
GI値は以下のように分類されます:

低GI食品(55以下):血糖値をゆっくりと上昇させる食品。例:全粒穀物、豆類、野菜、豆腐、トマト。
中GI食品(56~69):中程度の速さで血糖値を上昇させる食品。例:玄米、そうめん、そば、かぼちゃ、さつまいも。
高GI食品(70以上):血糖値を急速に上昇させる食品。例:白米、食パン、じゃがいも、とうもろこし。

低GI食品は、血糖値の急激な変動を防ぐため、糖尿病予防や管理に役立ちます。また、エネルギーの持続性も高く、ダイエットにも効果的です。もちろん低GI食品だからと言って、沢山摂取すれば、当然血糖値はより上昇しますのでご注意ください。

GL値は、食品が血糖値に与える影響の総合的な指標です。GI値だけではなく、食品の炭水化物の量も考慮に入れます。GL値は以下の計算で算出します。

GL値= {GI値 × 炭水化物量(g)} / 100

この指標によって、実際に食事として摂取する際の血糖値への影響がわかります。
GL値は以下のように分類されます:

低GL食品(10以下):血糖値への影響が少ない食品。例:低脂肪ヨーグルト、アーモンド、ソイジョイ®。
中GL食品(11~19):中程度の影響を与える食品。例:バナナ、クロワッサン、煎餅。
高GL食品(20以上):血糖値に大きな影響を与える食品。例:餅、白米、どら焼き。

普段の生活では低GI食品を中心に食事をすることで、血糖値の急な上昇または安定を図ることができます。たとえば毎食の白米や食パンを、玄米入りにしてみたり全粒粉パンに変えてみたり・・などです。少しの変化で全体のGL値も抑えることができます。また低GI中心の食生活について、いくつかの研究結果では糖尿病や心臓病の発症リスクが抑えられたと報告されています。1)

ちなみに「低炭水化物ダイエット」は単純に炭水化物(糖質)の摂取を制限しているもので、上記の食事方法とは全く異なります。また日本、アメリカ、イギリスの糖尿病学会は糖尿病患者に対して低炭水化物ダイエットを推奨しておりません。

本日のコラムでは糖の種類、質についてお話しました。糖について知ることは、糖尿病の予防や健康を意識した食生活のための助けとなります。また糖尿病をお持ちの患者さんにとって、血糖値の上昇を抑えるヒントになることがあります。
是非お役立てください。

参考文献
1) Chiu CJ et al. Nutr. Rev. 69 (4): 231-342. 2011